グリム農園&田舎暮らし

定年退職後の日々の日記です。

ため池水路の将来像

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  農業者の減少、高齢化で農地に伴う「ため池、農道、水路」などの管理ができなくなっている。農地など所有者がはっきりしている場合には管理者も明確であるが、ため池とその水路や農道など水利に伴う不動産は個人所有ではなく、多くの場合、地域の共有財産として、地域の農業者が利用し、保全してきた。水利は稲作農業を行うためには必須であり、これまで地域の利用者が管理組織を作り、共同で水利保全などを運営管理してきた。しかし、稲作農業者の減少・高齢化とともに、これらの維持管理が困難になっている。
 具体的に維持管理とは何を指すかというと農道やため池堤防はほとんどの場合、まだ舗装されていない。土のままであり、草が生えて、さらに放置すると樹木が生えてきて、やがて、鬱蒼と茂る。そうなると人も近づけなくなる。また、水路には土砂が流れてきて堆積するので、定期的に浚渫することが必要である。また、水路や農道・堤防などは水漏れや路肩の崩れなど自然による劣化・変形で補修が必要となる。これらの草刈りや補修などを利用者である農業者、地域住民などが維持保全を行っている。特にため池に伴う水利は地域の稲作の歴史を通じて公平な配水を行う運営組織として現代まで続いている。これが維持できない所まで来ている。
 国は農地維持のための交付金を制度化して、ため池などの保全を行う組織に草刈りなど定常的な維持管理活動に対して交付金を付与している。この交付金により、草刈り等の維持管理活動に対していくらかの報酬を出すことができるようになった。堤防草刈り等を実施するとき、参加者が多くなり、容易に実施できるようになった。しかし、市が主催する交付金を利用する組織を集めた会議があったとき、地域のいくつかのため池管理組織で深刻な状態にあることを知った。イノシシだけでなく、サルなどがでると防ぎようがなく、農業をあきらめることが起きている。また、維持管理する人が高齢になり、とても法面の草刈り等が困難になっているそうである。ラジコンの草刈り機があっても高価であり、とても交付金だけでは足りない。このような状況で誰がどのようにすれば維持していくことができるだろうか。国土の維持管理という理由から税金を使って大幅に交付金を増やしてラジコンの草刈り機や草刈りロボットでやるのだろうか。また、一律にすべてのため池水利網を維持しようとするのは限界がある。地域でどのようにため池や農道、水路、農地を含めた水利不動産をどうしていくのかのデザインが重要である。
 実は私はサラリーマンとして長年都会で働いてきて、退職後にUターンし、相続した不動産を管理することとなり、農業を始めた。わずかの土地でも野菜を作り、地域の市場に出すことで、こづかい程度でも現金収入を得られることは社会参加もでき、楽しみである。また、そうしたシニアが数多くいることも知った。シニアと農業は非常に相性が良い。身体を屋外で適度に動かすことで健康に良い。また、野菜や花きなど植物は世話をするほど、その生育として応えてくれるし、おいしい、奇麗という喜びにもなる。また、市場に出すと評価を受け、より高い品質を目指して工夫も無限の余地がある。しかも、天候など自然の影響も大きく、人間も地球環境の一部であることを実感し、自然環境の大切さを理解することになる。
 私の場合、親が地域住民として、ため池などの農業不動産を利用する一員であり、農地を相続することでその農業不動産を利用する一員に加わり、維持する側になったが、もし、農地を相続をしなかったら、この地域に住んでいても、たとえ農業に興味があっても知らずに済ましただろうと思う。特にシニアとなり、新に地域に住むことになった場合、農業水利網を利用する組織に入ろうと考える人はほとんどいないだろう。稲作でもしない限り、家庭菜園では上水道の水か天水で十分であろう。新たに水利組合に入り、維持活動に参加することはほとんどないであろう。確かに稲作農業者は減少している。水田をもっていてもイネを作る人はほんのわずかになってきている。私が子供の頃、50年前は地域のほとんどの農業者はさかんに稲作を行い、専業農家も多かったが、今では農地を持っていても、会社勤めをしており、お米を作らず、遊ばせている人が多い。また、地域には他県から新たに転入する人も増え、住宅地が開発され、そこでは新な自治会が組織されている。だから、古くから住んでいる農地保有者を中心とした自治会と新たに住み始めた非農業者の自治会が混在した状態である。そして、ため池の水利組合などは古くからの先住者が中心となっており、ますます減少している。一方では給与生活者を中心とした新興住宅地は増えており、ガーデニングや野菜の自家栽培をやりたいという給与生活者は増えていると考えられる。
  ため池を中心とする水利網の利用と保全に対して、従来の水稲栽培者だけでなく、蛍や魚類、水生昆虫なども住めるような水利網として、水路の用途を広げて、地域の住民全てが参加できるような場所にしてはどうかと思う。したがって、組織の目標も変わってくる。稲作農業のための水利管理というよりも、地域の自然保護管理も含めた地域住民のため池水路網自然公園というようなものにしてはどうだろうか。
  実は今の水路はコンクリート製でストレートな形状であり、溜りがないことから、貝や魚類、水生昆虫などの生物にとっては住めない環境である。なんといっても、昔は水路は蛍が舞う小川であったところが今は放流時には水がどっと流れてすべてが流され、放流のないときにはほぼ干上がってしまうというような単純な環境となっており、残念ながら、蛍が生息できない。これは本当に残念である。
  難しい点はあるが、ため池水利網を高度化して、魚類や水生生物が豊富な環境となるようにして、稲作農業者だけでなく、野菜や花の自家栽培愛好家、自然を観察する生活者が身近な池とその小川として参加できるような場にできないだろうか。
 

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