私が幼児のころに新築され、すでに60年+が経過し、空き家となっている生家の取り壊しがいよいよ始まる。思い出が多くて取り壊しに至るには心の整理が必要であったが、今ではこの家の最期を静かに迎えることができている。
6月25日に千葉から郷里へ引っ越し、この家の整理を始めた。当初はきれいに掃除して、夏には昔のように座敷で開放的に縁側を開け放して涼むつもりで始めた。しかし、雨漏りもひどく、雨のたびに土壁が部分的に崩れて廊下が泥で汚れたり、畳も雨で変色してしまい、劣化の程度が想像以上に進んでいることに暗然とした。軽トラックを購入したので早速、家庭ごみを持ち込める南部クリーンセンターに不要な衣類や食器、家具、書籍、書類などさまざまな残地物を計11回搬入して、処分した。この家の北側に10年前にビニールハウスを建て、そこに箪笥や農具など収納できないものを一時保管していたがさすがに経年劣化してそのほとんどが使えなくなり、ビニール自体も破れて雨ざらしとなっていた。この処分も含んでおり、約1.5トン程度の量となる。1600円/100kgの費用が掛かるが累積でも2,3万円であろう。7月、8月はほぼこの整理処分を行ったが、この作業を通して、生家の歴史や両親の思いを感じずにはいられなかった。徐々にそれらを捨てることはある意味、それらに感謝の思いをもって供養したのである。そして、9月になり、生家の取り壊しを迷うことなく、解体業者に依頼できるまでに心境が変化した。